トップ幹部育成セミナー17: 企業の衰退と復活 Vol.4
テーマ
- 衰退・消滅の企業
衰退・消滅の企業
今回のテーマは「衰退・消滅の企業」。
これまで行ってきた「企業の衰退と復活」についての最終段階となる第5段階の講習になります。米国のあるテレビメーカーを例に企業の成長の過程から衰退の過程でどの様な間違いを起していたのかを学びました。
このテレビメーカーは1918年に創業し、1948年白黒テレビを始めて商品化し白黒テレビで全米No.1になっています。
また、1961年にカラーテレビを初めて商品化しカラーテレビでも全米No.1となました。
しかしその後は、
- 1970年初め
日本製テレビが市場で力を持つようになった時、傲慢な姿勢でその脅威を無視。 - 1970年初め
新工場を建設し大幅な製造設備の拡大に投資。 - 1970年代
巨大投資により財務比率が悪化し、負債比率が資本の100倍になる。 - 1975年
外部人材を求めFord経営幹部を招聘。 - 1970年後半
生産能力が過剰となり、市場シェアを高めようと価格を引き下げ
利益率はそれまで30年間になかった低水準に低下。
自社の競争力欠如にに取り組まず、外部要因に責任を押し付けた。 - 1977年
数十年ぶりに赤字転落 - 1980年
データ・システムズ部門新設。 - 1980~1989年
データ・システムズ部門はIBM互換パソコンの第2位。
ラップトップパソコンで第1位の地位を獲得。
売上を30倍に増やし会社の利益のほぼ全てを占めるまでに至った。
その裏では、依然としてテレビ事業が残っており、
財務状況が悪化し流動比率は5%以下にまで減少した。
テレビ事業の売却は買手なく、閉鎖するにも必要なキャッシュがなかった。 - 1989年
選択肢が尽き、唯一価値のあるデータシステム部門を売却。
売却で得たキャッシュで再建を試みたが、テレビ事業が足を引っ張り毎年赤字。 - 1995年
CEO辞任。その後10年間にCEOが5回交代。 - 2005年
負債が5兆円となり破綻。
全米No.1のシェアを獲得するまで成長した企業が破綻するまでには幾つもの重要なポイントがありました。
代表的な例を挙げると
- 大幅な製造設備の拡大に投資
- 巨大投資により財務比率が悪化し、負債比率が資本の100倍になる
- データシステム部門の売却
- CEO後継者を育成出来なかった。
と色々なポイントがありますが、講師の方が挙げた最も重要なポイントは「キャッシュフロー」でした。
負債比率が資本の100倍になったり、流動比率が5%になってしまう事でテレビ事業を売却する事が出来ませんでした。
もし財務状況が正常であればテレビ事業を閉鎖しデータシステム部門によって存続する事もできなのではないでしょうか。